過去の上映作品

12.7(土)〜12.8(日)名作アニメーション特集(全作品フィルム上映)

日本アニメの名作を、全作品35 mmフィルムで上映!
1本500円!子どもも、大人もご来場ください!

 

年に1回の名作特選(全作品フィルム上映)、今年のラインナップは⽇本アニメの歴史を画した劇場⽤⻑篇映画の代表作4本を上映いたします。
日本のアニメーション史において重要な東映動画作品や、1980年代を代表するアニメ『銀河鉄道の夜』など、今や日本文化ひとつとして名高い日本アニメの歴史的作品の数々をお楽しみください。

こちらの4作品の鑑賞料は、全てお1人様1本500円となります。

令和6年度優秀映画鑑賞推進事業
共催:国立映画アーカイブ
特別協力:文化庁/一般社団法人日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会/株式会社KADOKAWA

 

《スケジュール》

12月7日(土)
14:00〜『西遊記』
16:00〜『銀河鉄道の夜』

12月8日(日)
10:00〜『長靴をはいた猫』
12:00〜『太陽の王子 ホルスの大冒険』

 

《上映作品》※全作品カラーでの上映

『西遊記』[1960年  東映動画]

世界有数の規模を誇る近代的な設備と大きな資本力で日本の動画製作を刷新、アニメーション史上に一時代を築いた東映動画(1956年創立)初期の代表作の一つ。日本の長篇カラー・アニメーション第1作『白蛇伝』(1958)、第2作『少年猿飛佐助』(1959)に続き、ヴェネチア国際映画祭で連続受賞している。手塚治虫の漫画(「ぼくのそんごくう」)を原作としてとりあげた点で画期的な作品であり、黒澤明監督の『酔いどれ天使』(1948)などで知られる植草圭之助を脚本に招くなど野心的な試みがなされている。製作にも大きく関与した手塚治虫は、後に自らのプロダクション「虫プロ」を設立、アニメーションの世界に積極的に乗り出すことになる。

 

『太陽の王子 ホルスの大冒険』[1968年  東映動画]

メジャー・カンパニーの東映の参入は、日本のアニメーションの製作に大きな変化をもたらした。長篇動画における初の色彩化、ワイド・スクリーンの導入などに連なるこの作品では、ゼログラフィ(原画をセルに直接転写するシステム)が全面的に採用された。もっとも、1965年頃から大量生産されたテレビ・アニメーションへと東映動画内における製作の比重が移りつつあるなかで、技術的な質の低下を懸念するスタッフの熱意もあり、企画から完成までに3年半が経過している。そのスタッフの一員である高畑勲(長篇初監督)宮崎駿(原画及び場面設計)は日本を代表するアニメーション作家となった。反体制的色彩の強いストーリー、少女ヒルダに見られる陰影あるキャラクターなど、このジャンルにおける物語の定型を大きく逸脱しており、ユーモアやギャグの希薄さをめぐる当時の批評からは、この作品が斬新な外観をまとって登場したことがうかがわれる。

 

『長靴をはいた猫』[1969年  東映動画]

東映動画製作の長篇アニメーション。シャルル・ペローの童話をもとに、井上ひさしと山元護久が脚本を書き、ギャグ監修に中原弓彦こと小林信彦を起用した豪華な布陣で製作された、東映動画の代表作の一つ。井上ひさし と小林信彦が後に作家として知られることは言うまでもない。その特徴は愉快なギャグとアクションの連続にあり、教訓めいたメッセージが排除されている点にある。猫のペロが家を追い出されたピエールを助けて、国王の娘ローザ姫の婿に売りこむが、魔王ルシファがローザ姫に目をつけて、彼女を奪って城に監禁する。この姫の救出場面が大きな見せ場となる。高い城、その上にそびえる塔、周り階段、吊り橋などを用いた戦いに次ぐ戦い、朝日に溶けていく魔王、その光のなかを落下していくローザ姫とピエール。その二人を鳩の群が救い上げるという場面の連続は、アニメーションならではの醍醐味である。

 

銀河鉄道の夜[1985年  朝日新聞社=テレビ朝日=日本ヘラルド映画グループ]

宮澤賢治の代表作である童話のアニメーション映画化だが、主な登場人物を猫に仕立てたますむら・ひろしの異色漫画を原案に、脚本に演劇界の巨人・別役実、音楽にYMO解散後の細野晴臣を迎え、『ジャックと豆の木』(1974)などを手掛けてきた杉井ギサブローが演出を務め、一年半の製作期間をかけて完成させた、1980年代日本アニメーション映画の金字塔。文選工として働くジョバンニは、星祭りの夜、無二の友人カンパネルラと共に、機関車に乗って星空へと旅立つ。多くの乗客との出会いと別れを通して、母一人子一人で育ってきた少年は自らの孤独と向き合い、生き続ける意味を確かめることになる。公開当時、「十年もたつとこれは名作としての生命をよみがえらす」と述べた映画評論家・淀川長治を始め、多くの映画人から絶賛され、読者選出による「キネマ旬報」ベストテンでも第7位に選ばれている。常田富士男による最後の朗読は、宮澤賢治の詩「春と修羅」の序である。


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