再生への歩み
~取り壊し寸前から映画館としての営業再開まで~
<取り壊しの危機>
2007年まで、常設館として最後にあたる「高田日活」(成人館)として営業を続けていました。しかしながら、その年に起こった中越沖地震などの影響により雨漏りが酷くなり、建物の老朽化が深刻な問題になっていきました。個人オーナーによる運営ではもはや映画館を維持することが難しく、廃業と建物の取り壊しの危機に迫られていたのです。
<NPOの設立>
そんな中、同館を地域の財産として残そうという市民の有志や映画ファンが中心となって保存活動が始まり、2009年にはNPO法人「街なか映画館再生委員会」が発足。個人オーナーから高田日活の譲渡を受け、新たな体制による運営がスタートしました。以来、歴史的な建造物であるとともに街に界隈を生み出す施設でもある映画館の再生保存・活用に向けての活動が具体的に検討され始め、その再生のための募金運動も活発化していきました。
<市民プロジェクトによる修繕が進む>
2009年。市民からの募金や、自治体・各種財団からの補助金を集めつつ修復作業が始まりました。
椅子の改修を始まりとして、瓦の改修(2011年)、外壁工事(2014年)、トイレの改修(2015年)など、着実に再生にむかって進んでいきました。
そこには常に市民からの支えがあり、資金面もさることながら実際の作業にも携わっていただきました。
<「再生」へはまだ道半ば>
現在ではメディアへの露出も少しずつ増え、全国でも有数の文化財として注目されるようになってはきましたが、老朽化の問題が解決されたわけではありません。今後も耐震補強、冬場の防寒対策などの課題を抱えています。
ですが、そうした中でも映画館として日常のコンテンツを提供できるくらいにまで持ち直すことができました(現在ホームページ上に並んでいるような映画のラインナップは、ちょっと前までは考えられないものでした)。建物保存が目下の課題であった高田世界館でしたが、今は保存の先にある「活用」へとステージが上がりつつあります。常駐の職員の設置を経て、今後は街に賑わいを生む文化施設・コミュニティスペースとして定着していくことが望まれます。
建物をただ残すだけでなく、血の通った生きたものとして活用すること。それがあって初めて、街なかの映画館の「再生」が言えるのではないでしょうか。
まだまだ営業館としては皆さまにご迷惑をかける点が多々あるかと思いますが、ぜひ皆さまからの温かいご支援をいただければと思います。
現在の目下の課題は「人手不足」。ボランティアも随時募集しております。
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