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【イベント報告】『痛くない死に方』3/27クロストーク付き上映レポート

クロストーク付き上映ご来場ありがとうございました!
『痛くない死に方』引き続き大好評上映中!

先週末の27日に開催された、映画『痛くない死に方』のクロストーク付き上映、大変多くの方にご来場いただきました。ありがとうございました!クロストークでは今井先生、来間先生のお二方から病院勤務の臨床医、在宅医それぞれの現場の生の声や医療者側の取り組み、問題点などもうかがうことができました。

病院は当然ながら様々な医療機器がそろっていて、突発的な事態にも迅速に対応できます。ただし、必ずしも患者さんがくつろいでいられる場所とはいえないかもしれません。一方で、在宅は自分の家ですから気兼ねなく過ごせる、くつろげるというメリットがありますが、使える医療機器は限られてきますし、薬を変えて様子を見てみようと思っても、すぐには対応できません。それぞれメリット・デメリットが考えられるんですね。

そんな中で、双方のデメリットを解消できるように、それぞれ取り組んでいること、問題意識をもっていることを伺えました。例えば病院と在宅の連携と、医師とほかの職種との連携についてです。病院勤務を経験したことのない在宅医はいませんが、在宅医を経験したことのない病院勤務医がほとんどです。現在は在宅医として働く来間先生自身も、病院勤務時代は在宅でここまで医療ができるなんて知らなかった、在宅でできることは考えられているよりずっと多いとおっしゃってしました。このあたりの知識が病院勤務医とも共有されれば、在宅を選択する患者さんと病院の連携がもっと上手にとれそうです。

また、病院で治療を受ける患者さんがより心穏やかに過ごせるように、あるいは、医療従事者とより良好な関係が築けるように、病院のなかに患者さんや家族の話に耳を傾ける人(カウンセラーのような人だったり、お坊さんなどの宗教者だったり)、患者さんと医療従事者のはしわたしをするような役割の方がいて、連携をとれるといいのだがというような話もありました。

また、ヨゼフさんからは、病院で過ごすとき、患者さんと過ごす時間が医師よりも長いであろう看護師さんたちの役割についてもお話がありました。北米、ヨーロッパでは、終末期医療の現場では看護師がキーパーソンで、発言権も決定権もきちんとあります。いっぽう、日本では、映画でも描かれてしましたが主役は医師です。患者さんとより深くかかわり、その様子をよりよく知っている看護師さんたちが頑張ろうとしても、医師に対する発言権も決定権も低く、社会的地位も高くない… これでは、医師・看護師・患者、皆さんを疲弊させてしまいますね。システムとしても大きな問題なのだなと感じました。

会場からは、痛みのコントロールについての質問がありました。在宅を希望するが、痛みを伴う疾病となると、病院を選択するというジレンマは、だれしも持っているかと思います。来間先生からは「痛みの感じ方は人それぞれなので、病院のほうが機材や薬剤がそろっているからより痛くない過ごし方ができるとはいえない」というお話をいただき、今井先生からは補足として、「同じ状態でもそれを痛いと感じるかどうかはその人の気持ち、心もちが大きく関わってくる」というお話をいただきました。

「痛くない死に方」にかかわってくるのは病院か在宅か、という場所の問題なのではなく、その人の思い、感じ方なのである。終末期の患者さんに対しては、医師対患者ではなく、一人の人対人として、その人に合った最期の形を考えていくというお話をいただいて締めくくりとなりました。

誰しもが迎える最期のとき。それはとても身近で切実な問題だと思います。死に方は、あるいは生き方の集大成かもしれません。最期のときに慌てふためなくてもすむように、自分ならどうしたいかについて、身近な人と語り合っていくことは、実はとても大切なことなのかもしれませんね。

作品とともに大きな示唆を与えていただきました。今井洋介先生、来間佐和子先生、郷堀ヨゼフ先生、ありがとうございました!

画『痛くない死に方』の上映は4/9(金)まで続きます。たくさんの方のご来場、お待ちしております!


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