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【ご来場ありがとうございました!】第3回映画の楽しみ方講座『トトとふたりの姉』

 

皆さまこんにちは。高田世界館スタッフ:郷堀です。1/28(日)の第3回映画の楽しみ方講座『トトとふたりの姉』を無事終えることができました。

前日までは連日の吹雪。道路状況も悪く、いっそのことイベントは中止にしたほうがいいのではないかと何度も心が折れそうになりましたが、当日の天気は奇跡の晴れ! もちろん、道路状況は変わらず悪かったのですが、そんな状況にもかかわらず県外の方も含め、わざわざ足を運んでくださった方がたくさんいらっしゃいました。本当に嬉しかったです!ありがとうございました。

トークでは、まず3つのキーワードに沿って作品の背景を説明させていただきました。

① 日本では「流浪の民」のイメージの強いロマ(ジプシー)ですが、ルーマニアでは奴隷として人身売買の対象になっていた過去があり、定住生活を送る現在も、被差別少数民族として苦しい立場にいる現状があります。また独特の衛生観念や家族間の絆のとらえ方など、作品理解にかかわるロマの人びとの特徴をお話しました。

②作品の舞台となったブカレスト郊外のスラム地域フェレンタリ地区について、その成り立ちから現在までの変遷、昨年始まった開発計画と、民間レベルでさまざまに入る支援活動について。動画も用意したんですが、音声が出ませんで、失礼いたしました…

③作品中にも登場した「児童クラブ」について、同じ児童クラブ組織で支援活動をしていた経験のある私が経験談も交えて、その役割等をお話しました。

さらにその後は、作品に描かれた「過酷な状況を生き抜く子どもたちの強さ」を培った、彼らの周囲にいる人々の様子、ルーマニア人らしさ・温かさなどの描写を、シーンを追って解説しました。

誕生日を大切にし「存在することそのものを喜ぶ」ルーマニアの人びと。厳しい叱咤激励の後は必ずを温かいスキンシップと「私の子」という声かけを忘れないことで、叱咤激励の奥にある想いが相手に届く様子。「あなたはどうしたい?」と、つねに自分のことを自分で考えることを促され考えていくうちに、自分の人生を選び取る強さを身につけていく子どもたち… それは、私の好きなルーマニアの姿でもありました。

翻って、日本に住む私たちはどうだろうか?
日本の子どもたちは、自分で自分の人生を選び取る訓練ができているか?
子どもたちは、私たちは、「自分の時間を生きているか」。

という問いかけで私の話は締めくくらせていただきました。

最後に、作品の出演者たちの現在の様子を紹介させていただいたのですが、その際にはトト本人が高田世界館のお客様に寄せてくれたメッセージビデオを紹介しました。トト、イケメン!!

実はこのメッセージビデオが届いたのはイベント当日の2日前。慌ただしくつけた字幕は読みづらく、少々抜けているところもあり本当に申し訳ありませんでした。メッセージにもありましたが、トトは今、写真に夢中になっています。トトの撮った写真を見たい方は、Facebookのアカウント「Toto din Ferentari」をのぞいてみてくださいね。メッセージの中でトトは「(映画の後、自分の生活はずいぶん変わった)今は、真実の自分を生きている」という言葉がありました。図らずもそれは、私が話の最後に問いかけた問いと呼応する形になっており、メッセージを初めて見たときは思わず熱いものがこみ上げてきました…

現在のトトや彼の劇団の仲間たちは、ロマ差別問題についても積極的に発信し、自分たちの手で自分たちの状況を変えようとたくましく動いています。そんな強さ、私たちも忘れないでいたいですね。

予定していた時間をだいぶ超過してしまい申し訳なかったのですが、多くのお客様が最後まで聞いてくださり、終わった後もたくさんの質問をお寄せいただきました。登壇者としてこれほどうれしいことはありません。本当にありがとうございました。

トトとふたりの姉』の通常上映は2/3(土)~2/9(金)となっております。2/4(日)16:00~は託児付き上映となっております。ぜひ、スクリーンで、トトたちに会いに来てください!

世界館スタッフ:郷堀久爾子


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